ビジネスメールコミュニケーション講座(オンライン)

「CC」を外さずにメールを返信してもらうには

いつも「CC」を外して返信して来る方への対処法とは?

「CC」を入れて送信したメールに対し、いつも「CC」を外して返信して来る方がいます。そのつど、共有した相手に先方の返信メールを転送しなければならず、2度手間になるので大変困っています。どうすれば、「CC」を外さずに返信してもらえるでしょうか。

佐藤安南講師講師からの回答

CCに含めたアドレスを外さず入れてもらうためには、言葉でしっかり相手に伝えよう

メールを複数の人数に送信できる「CC」機能。とても便利ですよね。この「CC」があるおかげで、チーム内での情報共有がとてもスムーズになりました。

ですが時々、ご質問のように、CCを外して返信してくる方がいるのも事実です。瞬時に情報共有できるはずのCCメールが、これでは意味のないものになってしまいます。毎回返信をもらうたびに、CCで共有した人へメールを転送しなければならないのも大変ですね。

こういうとき、どのように対応したらよいのでしょうか。もちろん、「必ずCCでご返信下さい」と先方に伝えるのも一つの方法です。ですがその前に、まず、皆さん自身のメールを確かめていただきたいのです。

みなさんは、「CC:弊社・▲▲」のように、複数の人にメール送信していることを、宛名としていつも明記しているでしょうか。

「CC欄にメールアドレスが入っているのだから、わざわざ宛名に書かなくても相手に分かるはず」という方もいらっしゃいます。しかしこれは、送信者の一方的な思い込みです。

メールは、基本的には1対1のコミュニケーションツールです。ですから、メールを受け取った人は、「送信者が誰か」(from欄)ということに多くの注意を払います。そして、自分のよく知っている人、自分に関わりのある人からのメールだと確認をしてから、メールを開封するのです。

しかし、受信したメールが誰に共有されているかということには、CC欄によほど多くの人のアドレスが入っているのでない限り、人はあまり注意を向けません。

ですから、宛名に他の人の名前が併記されていなければ、受信した人は「自分だけにメールが来たのだ」と誤解してしまう可能性があります。受信者の状況によっては、忙しくてCC欄を見ている暇がない、ウッカリして見落としてしまうということも考えられます。

CCでメールを送る際には共有先全員の名前も宛先に書きましょう

「効率的な情報共有」は、メールが最も得意とする機能です。この機能をじゅうぶんにいかすためには、「誰と共有しているのか」を明確にする必要があります。

ですから、「CC」で同報メールを送るときには、必ずメインの受信者(「To」欄の宛先)だけでなく、同報で受信する相手(「CC」欄の宛先)の名前も、宛先に書くようにしましょう。

宛先の書き方は、例えば以下の通りです。

●●株式会社 営業部
▲▲様
(CC:営業部・■■様、弊社・★★)

書く順番は「取引先・役職が上の人」が先、「自社・役職が下」の人ほど後に書きます。もし役職の上下が不明の場合は、とりあえず50音順で構いません。後で分かったら訂正しておきましょう。

そもそも、「CC」の存在を知らないのでは…?

宛名に「CC」で同報している人の名前を書いても、相変わらず相手からは「CC」を外されて返信がくるので困っているというご相談をいただいたことがあります。こういう場合は、どうしたらよいのでしょうか。

先方がCCで返信をして来ない理由は、以下の4つが考えられます。

  1. 「CC」で共有されていると気付いていない。
  2. 「CC」で共有されていると分かっていたが、ウッカリして送信者にのみ返信してしまった。
  3. そもそも、「CC」の共有が分からない。「全員に返信」する方法を知らない。
  4. 組織の方針で「CC」機能が使えなくなっている。

(1)は、最初にお伝えしたように、宛名に「CC」で同報している人の名前を併記することで、「このメールは複数の人が読んでいますよ」ということを伝え、気付きを促すことで回避できます。

(2)は、誰もがしがちなミスです。改めて返信をする際に、「同報で情報共有をしています」と、さりげなく本文で確認を促してもよいでしょう。

(3)は、実は意外に多いケースです。個人でお仕事をしている方、メールがあまり得意ではない方などに、こうしたことが見られるようです。この場合は、メールの本文中で、このようにお伝えするとよいでしょう。

CCのアドレスを入れてもらうために依頼する際の例文

弊社の●●とも同報(CC)で情報共有しております。
お手数ですが、ご返信の際は、
「全員へ返信」でお願いいたします。

こうすれば、相手の方に「全員へ返信」という機能があることに気付いていただけます。実際に私も、このようにお伝えしたことで、「今まで知らなかった機能が使えるようになりました!ありがとうございます!」と感謝された経験があります。

最後の(4)は、以前もこのコラムでお伝えしたことがあります。官公庁などで、情報漏えいを防ぐために、最初から「CC」機能を停止させている場合があります。このようなときは、先方にお願いし、同じ内容の返信を別々に送ってもらうか、面倒でも、内部で転送するということで対処しましょう。

いつも「全員へ返信」にしておけば大丈夫?

ときおり聞く話ですが、返信ミスを防ぐために、常に「全員へ返信」を使っているという方がいらっしゃいます。こうすれば、確かにどんな場合でも「CC」への返信漏れがなくなりますね。

しかし、こうした「常に『全員へ返信』」の方法が、思わぬミスを招くことがあります。

こんな話があります。阿部さんは、取引先の橋本さんに宛ててメールを送りました。その際、チームを組んでいる同僚の山田さんにも「CC」で同報しました。そのとき阿部さんは、宛名には「●●工業営業部 橋本様」としか書きませんでした。

その後橋本さんからきた返信メールは、同僚の山田さんにもCCで「全員に返信」されていました。しかし、そのメールには、「ここだけの話ですが、御社の山田さんの対応に、少し困っています…」と、同僚の山田さんに対する苦情が書かれていたのです。

つまり、クライアントの橋本さんは、誰に対しても「全員に返信」で返信することが、いつもの癖になっていたのでしょう。そして、阿部さんから来たメールを、山田さんと共有されているメールだとは思わずに、「全員へ返信」ボタンを押してしまったのです。

そして橋本さんは、阿部さんだけが読むものだと思い込んだまま、山田さんに対する愚痴をメールで書いてしまったという訳です。

メールで他人に対する悪口や愚痴を伝えることの是非はさておき、このような「他の人に知られると困ること」をウッカリCCで送ってしまうという失敗談は、とてもよく聞く話です。

これは、いつも「全員へ返信」するのが習慣になってしまっているクライアントの橋本さんだけの責任ではありません。

最初にメールを送った阿部さんが、「CC:弊社・山田」と宛名に書いておけば、山田さんともメールを共有していることが橋本さんにも伝わったはずですし、橋本さんも、よけいな恥をかかずに済んだはずです。チームで作業をしているとき、複数名でメールのやり取りを共有しておきたいときは、面倒でも、必ず「CC」欄に入れた宛先を書くようにしましょう。

そうすれば、相手の方も、どのように返信すればよいのか理解できます。スムーズな情報共有のために、共有相手の宛名を書く一手間は、惜しまないようにしてくださいね。

一般社団法人日本ビジネスメール協会
この記事を書いたビジネスメール講師
一般社団法人日本ビジネスメール協会・認定講師
一般社団法人日本ビジネスメール協会は、ビジネスメール教育専門の団体です。ビジネスメールを中心としたコミュニケーションや業務推進における、さまざまな課題に取り組み、講演や研修、コンサルティングなどを通じてビジネスメール教育を提供しています。ビジネスメールの教育に特化した豊富な実績と経験を活かし、官公庁や企業、団体、学校などに対して最適なサービスを提供。独自に開発したビジネスメールの専門プログラムと、ビジネスメールを使った実務および講演の経験豊富な講師陣を有し、多様なニーズに柔軟に対応します。

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