ビジネスメール実態調査2024

失敗署名って、どんな署名?

ビジネスメールのプロに質問!

署名は名刺と同じ情報を書けば、絶対に間違いないのでしょうか。他にも気をつけるべきことがあれば教えてください。

長野ゆか講師からの回答

署名の基本は、名刺と同等の情報を書くこと。そして、問い合わせ可能な時間帯を入れたり、その時々にPRしたい内容をひとこと入れる等の活用もできることは、以前もご紹介しています。
◎ビジネスメール基本の型
◎ビジネスメールの「署名」の書き方
しかし、確かにそれだけで完璧かと言われるとそうではありません。失敗署名を見かけることも多く、そのミスにも傾向があります。そこで、意外とありがちな失敗署名を参考までにご紹介いたします。

情報が足りないこと

名刺と同等が基本とお伝えしているのに、一部省略されている署名を見かけます。この場合、郵送物を送ろうと署名を確認したら、郵便番号が入っていない。電話をかけようと思って署名を確認したら、電話番号がないということが発生します。こうした理由でこちらが気づかない間に相手をイラッとさせている恐れがあります。
役職が高いことを書くと、相手に失礼なようだと割愛される方もいます。しかし、メールを送ろうにも役職がわからないため正しく宛名が書けず、わざわざ確認のため電話をするという人もいるようで、そうした場合には相手に不要な手間をかけてしまいます。業種業態や慣習にもよりますが、役職をしっかり書くことが多いときは、役職名も入れたほうがいいですね。基本にそって「名刺と同等の情報を」書いてください。

こうした理由から分かることは、連絡を取ろうとしたときに、名刺を探さず署名から探す方が増えているということ。名刺がすぐに取り出せる環境でも「部署名など変わっている可能性もあるので、あえて最新の署名から連絡先を探す」という方もいます。だから「そもそも署名がない」というのはあり得ませんね。ビジネスメールの型に沿って、署名は必ず書いてください。

内線外線を使い分けて書かないと、無駄な時間が発生する

毎回、外線番号が書かれた同じ署名を使っていませんか。これを、社内の総務や人事の担当者にメールを送るときも使っていませんか。社内の電話連絡は、外線番号ではなく内線番号を利用するはず。なので、内線番号を署名に記載する方が望ましいでしょう。

私は、情報システム部門に所属していたため、内部からの問い合わせのメールも多く受信していました。「お電話ください」とメールに書いてあるので受話器を取ったら、書かれているのは外線番号の入った署名。そこから社内の電話番号簿データにアクセスし、先方の部署名で内線番号を検索。もし、内線が書かれていれば、この作業時間はかかりません。私にとっても会社にとってもマイナスの時間です。電話をかけるまでの1アクションの間に、他の電話がかかってきたり、他の仕事の件について話しかけられ、連絡が後まわしになってしまうこともよくありました。もちろんメールを送った方にとっても仕事へのレスポンスが遅くなる。双方にデメリットが出てしまいます。

企業のブランドイメージを壊していませんか

利用している署名は、貴社のブランドイメージにあっていますか。署名はメール上の名刺である以上、自分だけではなく企業ブランドも背負っています。信頼が重要な企業で、☆や///を多用したような、キラキラ署名を使っていないでしょうか。ある国の機関にお勤めの方が、キラキラな署名の罫線の合間に、娘さんの名前を点在して入れてらっしゃるなんてこともありました。受信者がどのようなイメージを抱くかという視点があれば、こうした署名を利用されることはなかったでしょう。
本来は名刺が企業で統一されているように、署名も企業内で統一のテンプレートを使うことが望ましいため、業務改善の1つとして実施をしていただきたいところです。

謝罪メールにキャッチフレーズは要注意

謝罪はそもそもメールでは行わないという前提がありますが、それでもメールで謝罪の場面はくるでしょう。そんなときに「二度とこのようなことが深く反省し」と書いてあるにも関わらず、署名のフレーズに「信頼第一☆ご相談はお気軽に♪」や、ニコニコした顔の文字がかかれているなど、陽気な印象があると、これもやはり不快にさせてしまいます。いつもと同じ署名でも、場面によっては受ける印象が変わることも知っておくとよいでしょう。

署名で、失敗しないポイントまとめ

署名は「相手が署名を二次利用する前提で情報を書き入れること」に意識しましょう。相手が自分に対してどのようなアクションを起こすか、そのときに、必要な情報が何かを意識して、先回りして書いておくことが署名への上級の配慮です。そして、署名自身にも「印象」があり、デザインやそのときの内容にそぐわないものであれば、それだけでも相手を不快にさせるかもしれない、ということを知っておくとよいでしょう。