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メールに追われ営業ができない

メールの問い合わせには速やかに対応するよう上司から指導されています。最近、お客さまからメールの問い合わせを多くいただきますが、その対応に追われ、営業訪問の時間が確保できません。どうすればよいでしょうか。

井上賢治講師からの回答

これについては、多くの営業パーソンが同じお悩みを抱えているようです。コミュニケーションツールとしてのメールの特性、そして統計の結果も交えながら考えてみましょう。

メールはいまやビジネスにとって必要不可欠なツールといえます。ビジネスメール実態調査2019においても「仕事で使っている主なコミュニケーション手段」として以下の結果が出ています。

1.メール(97.46%)
2.電話(86.91%)
3.会う(66.30%)

私も長らく営業職に就き、飛び込み訪問やテレアポも数えきれないほど行ってきました。しかし、最近では最初の問い合わせがメールという機会も増えました。他の営業パーソンと話をしていても「今日は1日お客さまと会うことがなかった」ということはあっても「メールが1通もない」日はないと聞きます。

「速やか」とはメールを受信した瞬間「今すぐに」とは限らない

さて、ご質問の回答です。上司の方がおっしゃる通り、メールの返信は早いほど相手の方に好印象を与えられます。しかしながらそれは「メールがきたらすぐに」ということではないかもしれません。

例えば、ご自身が営業活動をされている中で、今から30分後のお客さまとの約束に遅れそうになったら、どの手段で連絡するでしょうか。おそらくは電話を選択するのではないでしょうか。緊急性が高く、メールでは送ってもすぐに読まれるとは限らないためです。裏を返せば、メールは緊急度が高い連絡には不向きなツールとも考えられます。

また、先にご紹介したビジネスメール実態調査2019では、返信について、7割を超える人が、1日(24時間)以内に返信がこないと遅いと感じると回答しています。

確かに、多くのお客さまがメールの問い合わせに対して早い回答を求めています。しかしそれは「今日問い合わせたら、今日のうちに回答がくるかな」「遅くても明日には回答がくるだろう」という感覚です。上司の方ともその真意について一度話をしてみてください。「速やかな対応」の「速やか」とはメールを受信した瞬間「今すぐに」とは限りません。

まずは営業訪問の時間をしっかりと確保

解消法としては、1日のスケジュールを立てるうえで、メールを処理する時間を決めることをおすすめします。まずは営業訪問の時間をしっかりと確保しましょう。そのうえで会社にいる時間帯、例えば朝と夕方などにメール対応の時間を決めるのです。それだけでも半日以内の返信は可能です。

ポイントは、メールの返信を先送りにしないことです。お客さまは、回答がないことではなく、リアクションがないことに不安を感じている可能性があります。

例えば、お客さまからお見積りと納期について問い合わせがあったとします。すぐに回答できるのであれば、もちろんすぐに返信をされることでしょう。問題はすぐに回答できない場合です。そんなときでも、まずはリアクションを起こしましょう。

・お見積りは提示できるが、納期については製造や物流部門との調整が必要な場合

お見積もりを添付にてお送りいたします。
納期については調整のうえ、本日17時までにあらためてご連絡いたします。

・お見積りも納期もすぐには回答できない場合

お問い合わせありがとうございます。
お見積もりと納期につきましては、明日の10時までにご回答申し上げます。

多くの営業パーソンが、問い合わせに対して、すべて回答を揃えたうえで返信しようとします。そうすることで対応に追われ、営業訪問の時間が削られたり、返信が遅れたりという事態に陥ります。先の例文のように、回答できる部分だけ、あるいはメールを確認したことだけでも返信しておくと、お客さまも待たされている感覚がなく、安心感を与えられるはずです。同時にご自身のスケジュール調整もしやすくなるのではないでしょうか。

「メールをスマートフォンに転送」は注意

メールに振り回されない環境を作ることも大切です。近年、営業パーソンにとってスマートフォンは欠かせないツールのひとつとなりました。会社のメールをスマートフォンに転送している方も多く見受けられます。外出先でもメールが確認できる便利さがある一方、その使い方には注意が必要です。

以前の職場で、あるシステム会社との商談のため、上司と同席した際の話です。そのシステム会社の営業は、商談中にもかかわらず、たびたび受信するスマートフォンのメールが気になる様子。視線は私たちとスマートフォンを行ったり来たり。ついには同席していた上司が怒りだし、商談が打ち切りになってしまいました。

私も会社のメールはスマートフォンに転送していますが、受信しても通知されないよう設定しています。通知がなされると、どうしても注意がそちらに向いてしまうからです。本来、集中すべき業務にしっかりと取り組むことが、業務を円滑に進める基本です。これは商談中に限らず、すべての業務において言えることです。

「すぐに回答をしなければならない」という概念を取り払う

一部の特殊な業種を除いて、受信したメールに対して、瞬時に対応しなければならないケースは意外と少ないものです。まずは「すぐに回答をしなければならない」という概念を取り払ってみてください。上司や先輩にもアドバイスを求めながら、半日以内に回答するもの、1営業日以内に回答するものなど、内容によって整理してみるのもよいかもしれません。本来やるべき業務の時間がしっかり確保できるよう、ぜひ実践してみてください。

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