ビジネスメールコミュニケーション講座(オンライン)

ビジネスメールは1通に複数の用件をまとめるべきか

ビジネスメールを書く際、「1つのメールに複数の用件をまとめるべきか」という質問は、よく挙がるテーマの一つです。

特に、多忙なビジネスパーソンにとって、メールの処理は効率的に行いたいもの。そのため、できるだけ1通のメールで複数の依頼や確認事項を伝えようと考える方も少なくありません。

しかし、重要なのは相手がどのようにメールを処理しやすいかという視点です。メールを受け取る側が混乱せず、スムーズに対応できる形で送ることが、ビジネスコミュニケーションの基本です。

この記事では、1つのメールに複数の用件を含めるべきかどうか、具体的な事例を交えながら解説していきます。

1.ビジネスメールは相手の処理のしやすさを優先する

ビジネスメールにおいて、重要なのは「相手がメールを処理しやすいかどうか」です。

例えば、あなたが外部のデザイナーに複数のプロジェクトに関する用件を一度に伝えようと考えたとします。その際、以下のようなメールを送った場合を考えてみてください。

B、C、D案件に関するご依頼

1. B案件の見積もり依頼
2. C案件のデザイン修正依頼
3. D案件の打ち合わせ日時の調整

このような複数の用件を1通にまとめると、相手はそれぞれの対応にかかる時間が異なるため、以下のような問題が生じる可能性があります。

  • 簡単な用件だけ返信し、残りを忘れる
  • すべての用件が終わるまで返信が遅れる

たとえば、B案件の見積もりはすぐに対応できるとしても、C案件のデザイン修正には時間がかかるかもしれません。

その場合、相手は「すべての依頼に対応してから返信しよう」と考え、結果的に全体の返信が遅れるリスクが高まります。このような状況を避けるためにも、異なる種類の用件はメールを分けて送る方が無難です。

2. 同じジャンルの軽い依頼なら一通のメールにまとめても良い

一方で、複数の用件を1通のメールにまとめても問題ないケースもあります。それは、用件のジャンルが同じで、かつ軽い内容の場合です。

例えば、以下のような内容なら1通のメールにまとめても支障はないでしょう。

B、C、D案件の面談調整

1. B案件の見積もりに関するオンライン面談の調整
2. C案件のデザイン修正に関する面談の調整
3. D案件の打ち合わせ日時の調整

この例では、いずれも「オンライン面談の日程調整」という同じ種類の依頼です。相手はカレンダーを見ながら、まとめて日程を調整することができ、対応の一貫性があるため混乱を招くことがありません。

このように、同じジャンルで軽めの依頼や調整であれば、1通のメールにまとめても相手に負担をかけず、スムーズな処理が可能です。

3. 報告メールの場合はどうする?

報告業務においても、1通にまとめるか分けるかは相手の処理のしやすさで決めるのが基本です。たとえば、社内での定期的な日報や進捗報告など、比較的軽く処理できるものは1通にまとめても問題ありません。

しかし、重要な案件の報告や、相手がしっかりと確認する必要がある内容であれば、それぞれの報告を分けた方がよいでしょう。

たとえば、複数のプロジェクトに関する進捗報告や、異なる部門への報告書などは、それぞれのプロジェクトや部門ごとに分けて送信する方が、相手にとっても処理がしやすく、内容を確実に把握してもらえます。

また、報告内容が異なる場合、「予告」を入れることで相手に意識させる方法も効果的です。

例えば、B案件の進捗報告を1通目で送った後に、「このあと、C案件のデザインについても別途メールで報告いたします」と記載することで、相手に後続のメールを認識させることができます。

こうした予告を活用することで、複数の報告内容を効果的に伝えることが可能です。

4. メールを分けた方が無難な場合

メールを1通にまとめるか、複数に分けるかで迷う場面はよくあります。しかし、用件の種類が異なる場合や、重い内容が含まれる場合は、分けた方が無難です。

例えば、見積もりの依頼、デザインの修正、打ち合わせの日程調整など、全てを一度に伝えたいと考えるかもしれませんが、これらは対応のスピードが異なる可能性が高く、相手にとって負担になる場合があります。

一方で、メールの本数が増えることを心配する場合もあるでしょう。そのようなときは、予告を入れることや、軽い用件をまとめるなど、相手がメールを見逃さない工夫をすることで、メールの本数が増えても相手の負担を軽減できます。

基本的には、「まとめるか分けるかで迷うなら、分ける方が無難」という考え方が安全です。特に、時間のかかる依頼や確認が必要な内容であれば、個別にメールを送ることで、相手も自分のペースで対応がしやすくなります。

まとめ

ビジネスメールに複数の用件を含めるべきかどうかは、相手がどのように処理しやすいかが重要な判断基準です。同じジャンルの軽い用件であれば1通にまとめても問題はありませんが、ジャンルが異なる場合や、重い内容が含まれる場合は、分けて送ることが推奨されます。

また、報告メールにおいても、重要な内容は分けて送ることが相手にとって親切です。

最終的には、メールの本数を減らすことを優先するよりも、相手がスムーズに対応できるように配慮することがビジネスコミュニケーションの鍵となります。

複数のメールを送る場合は、予告を活用するなどして、相手の負担を軽減しながら、確実に伝わるメールを心がけましょう。

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