ビジネスメール実態調査2024

誰が返信するか分からないときはどうしたらいいですか?

ビジネスメールのプロに質問!

メールが届いたのですが、明らかに自分の担当外の内容でした。CCには、その業務の担当者が設定されていました。あえて私が言わなくてもCCに入っている担当者が返信するだろうと思うのですが、先日受講したビジネスメール研修で、返信義務はTOで受けた人にあると学びました。こういう場合もTOに指定された人、つまり今回は私が返信すべきなのでしょうか。

池田福美講師からの回答

質問者の方は、TOの人に返信義務があることをきちんと認識しているからこそ、「私が返信するの?」と悩むわけですね。では、どうすれば誤解を生まず、その後の業務がスムーズに進行するかを一緒に考えてみましょう。
TOで受けた人が「自分は担当者じゃない」「CCに担当者が入っているから大丈夫だよね」と考えたくなるのはわかります。しかし、「担当者が返信するだろう」「あえて私が言わなくても自分が担当者だとわかるだろう」という“思い込み”や”決めつけ”は危険です。担当者が忙しい人であればあるほど、その方はCCのメールは優先度を下げている可能性があります。TOで受信したメールを優先的に処理し、「返信義務はTOで受信した人にある」と学習したことにより、自分が返信すべきメールではないと考える恐れもあります。このような場合は、まずTOに指定された人が、担当が異なることを伝える内容をきちんと返信しましょう。

担当が異なることを伝える(文例)

ご連絡ありがとうございます。
本件は、弊社の鈴木一郎が担当しているため、
あらためて鈴木より、ご返信をいたします。
今後のご連絡は「TO:鈴木 CC:私」でいただけますと幸いです。
事前のご紹介が行き届かず、失礼をいたしました。

 
このような文面で、TOの人から返信すれば、メールの送信者にもCCの担当者にも誰が対応すべきかを明示することができます。ただ、事実だけの内容では冷たく感じられる可能性がありますので、こちら側が担当者を明示できていなかった可能性に対しての心遣いのフレーズを一言添えるとさらに丁寧でよいでしょう。また、返信時に担当者をTOに指定することもお忘れなく。このような場合は、TOが複数指定されていても問題ありません。(CCでは見逃される可能性があります)担当者に口頭で直接伝えることも「行き違い」を防止するためには有効ですね。

CCからTOに返信する場合の注意点

次に、CCの担当者が、気を利かせて直接返信するという対応です。その場合、臨時対応という誤解を招かないように気をつけましょう。
「〇〇に代わって回答いたします」というフレーズを使って書き始め、文末に、「本件は、今後も私が対応させていただきます」と記載すれば、臨時対応ではなかったことが伝わります。
これは、TOで受けた人が期待する対応ですが、気づかずに二重返信になると、社内で情報共有ができていないという印象を持たれかねません。
「返信お願いできる? 」「CCで来ていますが、私から返信しておきますね」というように、お互いに声かけをするようにしましょう。

代理で対応することの是非

その他に考えられる対応は、TOで受けた人が初回のみ担当者に確認した内容を回答し、今後はCCに入っている担当者(例:鈴木一郎さん)と、やり取りしてほしいと書くことです。
一見、先方の手間や、多忙な担当者のことを考えると親切に思われるでしょう。しかし、これは問題がある対応です。回答確認のために、自分の時間も奪われますし、そもそも担当者を決めている意味がありません。
実は、これは私がかつてマネージャを務めていた頃、失敗した経験からお伝えしています。対応スピードアップのために良かれと思ってしたことですが、担当者が任せてもらえなかったと感じて落ち込んでしまったり、担当業務を他人に直ぐに割り振る人が出てきたり、結果として担当者が不明確となって混乱を生んでしまうことがありました。組織的な対応ができることは緊急時には有効ですが、通常時の代理対応は、おすすめできません。そのような場合も臨時の代理対応であることを先方にしっかり伝えることが重要です。

なお、担当者がCCに入っていない場合には、CCに担当者を追加して、その旨を返信し、元メールは全文引用した形で残すとよいでしょう。送信者の知らないところで担当者にのみ転送して返信させることは、不信感や誤解を生じる可能性があります。あくまでも基本は「TOで受けた人が返信をする」です。その上で状況に応じ、誤解を生まないような配慮をしていきましょう。