ビジネスメールコミュニケーション講座(オンライン)

体調を気遣うビジネスメールの書き方・例文・注意点を解説

はじめに

「体調を崩されたと聞いて心配だけど、どうメールを送ったらよいか分からない」──

そう感じた経験はありませんか?ビジネスの場でも、相手の体調を気遣うメールは、信頼関係を築く上で大切なコミュニケーションのひとつです。この記事では、体調を気遣うメールの基本から、シーン別の例文、避けたいNG表現までを丁寧に解説します。

目次

  1. ビジネスシーンにおける体調を気遣うメールの役割と重要性
  2. 体調を気遣うビジネスメールを書くときの基本マナーと注意点
  3. 体調を気遣うメールの基本構成と書き方のポイント
  4. シーン別|体調を気遣うビジネスメールの例文集
  5. 体調を気遣うメールに使える丁寧で好印象な言い換え表現集
  6. 体調を気遣うメールを受け取ったときの返信マナーと例文
  7. ビジネスで失敗しない!体調を気遣うメールのNG表現と避けたい例
  8. まとめ|相手に寄り添う体調を気遣うメールで信頼関係を築きましょう

ビジネスシーンにおける体調を気遣うメールの役割と重要性

ビジネスシーンで「体調を気遣うメール」の役割について

ビジネスとはいえ、相手も自分と同じ人間です。「体調を気遣うメール」は、相手に対する配慮や思いやりを示す重要な役割を担います。

特に昨今は、在宅勤務や非対面でのやりとりが増え、相手の状況を直接知ることが難しくなっています。そうした中で、体調を気遣う一文があるだけで「この人は人間的に信頼できる」と感じてもらえ、メール本来の目的以上の価値を生み出すことができます。

気遣いメールが印象に与える影響とは?

ビジネスメールは、ときに事務的で冷たい印象を与えることもあります。しかし、体調を気遣う内容が入っていることで、相手に「この人は気にかけてくれている」「思いやりのある人だ」と良い印象を与えることができます。

また、相手の立場や状況に合わせた配慮が文面に見られると、その人の人柄や仕事に対する姿勢までもが伝わるものです。こうした細やかな気遣いは、社内での評価にもつながりますし、取引先からの信頼を得る一因にもなり得ます。

送るべきタイミングと適切な距離感のとり方とは

体調を気遣うメールは「いつ送るか」がとても重要です。相手が体調不良で休んでいるときにすぐ連絡をすると、かえって負担になることもあるかもしれません。

逆に、時間が経ちすぎてしまうと、気遣いの気持ちが伝わりづらくなることもあるため、送るタイミングには注意が必要です。

また、相手との関係性に応じた「距離感」も大切です。親しい間柄であれば柔らかい言葉で問題ありませんが、目上の方や大切な取引先には過度に踏み込まず、控えめで礼儀正しい表現を心がけましょう。

例えば「ご無理なさらず、まずは静養に専念なさってください」など、返信を促さない一方向の見舞いとするのが基本です。

体調を気遣うビジネスメールを書くときの基本マナーと注意点

目上や取引先に送る際の敬語・文体のマナーについて

目上や取引先に対しては適切な距離感が求められます。例えば「お体、大丈夫ですか?」のような親しい言い回しではなく、「ご体調を崩されたと伺い、案じております」といった控えめで丁寧な言葉を選ぶことが求められます。

また、文末に「お大事になさってくださいませ」「ご無理なさらずご静養くださいませ」など、軟らかく配慮のある表現を添えると、印象が大きく変わります。

曖昧な表現・忌み言葉を避ける配慮を心がけましょう

相手が体調を崩している状況において不適切な表現を使うと、無神経に感じられてしまうことがあります。

「~だそうですね」「~のようですね」といった曖昧な伝聞表現は、不確かな情報に基づいた印象を与え、相手の不安をあおる恐れがあります。事実が不明な場合は「ご体調を崩されたとお聞きし」といった表現にとどめ、深入りしすぎないよう注意しましょう。

また「倒れる」「死ぬ」「終わる」といった忌み言葉や、不吉な印象を与える語句も避けるべきです。

無理に踏み込まない「相手主体」の表現の工夫をしましょう

体調を崩している方にメールを送る際、「何があったのですか?」「どこが悪いのですか?」といった問いかけは、たとえ善意であっても、相手の負担になりかねません。

大切なのは、相手のペースや気持ちを尊重することです。こちらから踏み込むのではなく、あくまでも「あなたのことを案じています」「お大事に」という気持ちを静かに伝える表現が適切です。

そのためにできる工夫として、「どうぞご無理なさらず、ご自愛くださいませ」など、相手に返答を求めない完結型の表現があります。メールは受け取った相手の心にどう響くかを常に意識し、過剰な気遣いや情報収集にならないよう注意しましょう。

体調を気遣うメールの基本構成と書き方のポイント

件名のつけ方:シンプルかつ配慮のある表現例

件名は端的で、相手がメールの趣旨をひと目で理解できるようにしましょう。具体的な例をご紹介していきます。

体調を気遣う件名の例

  • ご体調を案じてご連絡いたしました
  • お加減についてお見舞い申し上げます
  • ご体調を崩されたと伺いご連絡申し上げます

冒頭の挨拶文:状況に応じた書き出し例

相手の状況に応じた丁寧な書き出しで始めましょう。具体的な例をご紹介していきます。

体調を気遣う書き出しの例

  • いつも大変お世話になっております。〇〇様が体調を崩されたと伺い、心より案じております。
  • ご体調を崩されたとお聞きし、大変驚いております。突然のご連絡、失礼いたします。
  • お加減がすぐれないと伺い、心より案じております。取り急ぎお見舞いを申し上げたくご連絡いたしました。

本文の構成:見舞い+フォロー+結びの言葉の流れ

本文は「見舞いの言葉 → 業務に対するフォロー → 結びの言葉」の流れで構成するのが基本です。用件がある場合も、見舞いの気持ちが主であることを明確にしましょう。具体的な例をご紹介していきます。

体調を気遣うフォロー文の例

  • まずはお体の回復に専念なさってくださいませ。業務に関しましては、くれぐれもご無理のない範囲でご対応いただければ幸いです。
  • まずはご静養を最優先に、ゆっくりとお休みになってください。必要なことがあれば、遠慮なくご連絡いただければと存じます。
  • ご体調が整われるまで、私どもで対応できる範囲は引き続き調整いたしますので、どうぞご安心ください。

文末の締め方:「ご自愛ください」など適切な締め言葉の使い分け

結びの言葉は、相手の回復と安寧を願う言葉で締めくくります。表現の硬さや親しみやすさは、相手との関係性に応じて調整しましょう。

体調を気遣う文末の締め方の例(フォーマル・目上向け)

  • どうぞご自愛の上、ご静養なさってくださいませ。
  • 一日も早いご快復を心よりお祈り申し上げます。

体調を気遣う文末の締め方の例(同僚・部下などへの柔らかい表現)

  • くれぐれも無理をせず、しっかり休んでくださいね。
  • お大事に。元気になったら、またお話しできるのを楽しみにしています。

シーン別|体調を気遣うビジネスメールの例文集

体調を気遣うビジネスメールの例文を、シーン別に紹介します。

上司や目上の方が体調不良のときの例文

  • ご体調を崩されたと伺い、大変驚いております。
  • ご静養中と存じますが、どうぞご無理のなきようお過ごしください。
  • 何かございましたら、遠慮なくお申し付けくださいませ。
  • 業務につきましては、ご復帰後にご確認いただければ結構です。

同僚・部下・後輩への気遣いメールの例文

  • 無理せず、しっかり休んでくださいね。
  • こちらのことは心配せず、今は体を第一にしてください。
  • 困ったことがあれば、いつでも連絡してください。
  • 必要であればフォローしますので、遠慮なくどうぞ。

取引先・顧客への体調を気遣うビジネスメール例文

  • ご体調がすぐれないと伺い、心よりお見舞い申し上げます。
  • ご療養中と伺っておりますので、まずはゆっくりお休みください。
  • ご対応は回復されてからで結構です。どうぞご安心ください。
  • ご快復を、一同心よりお祈りしております。

家族の体調を気遣うメール(第三者への配慮)例文

  • ご家族の体調不良とのこと、さぞご心配のことと存じます。
  • お忙しい中での看病、大変かと存じます。くれぐれもご自愛くださいませ。
  • ご家族の一日も早いご快復をお祈り申し上げます。
  • 業務面の調整もいたします。遠慮なくお申し付けください。

季節別(冬/夏/季節の変わり目)の気遣い例文

冬の気遣い例文

  • 寒さが厳しい折、ご体調にはくれぐれもお気をつけください。
  • 冷え込みが続いておりますので、どうぞ暖かくしてお過ごしください。

夏の気遣い例文

  • 暑さが厳しい中、体調を崩されたとのこと、さぞおつらいこととお察し申し上げます。
  • 暑い日が続きますが、ご自宅でのご静養が少しでも快適なものとなりますよう、心よりお祈りいたします。

季節の変わり目の気遣い例文

  • 朝晩の寒暖差が激しい中でのご療養、大変かとお察し申し上げます。
  • 季節の変わり目でご負担が多いことと存じます。

体調を気遣うメールに使える丁寧で好印象な言い換え表現集

体調を気遣うメールに使える「丁寧で好印象な言い換え表現」を紹介します。

「ご自愛ください」「お大事になさってください」などの敬語例

  • ご体調が一日も早く回復されますよう、心よりお祈り申し上げます。
  • くれぐれもお体を大切になさってください。
  • ご無理のないよう、まずはご快復を最優先にお考えください。

「体調にお気をつけください」など柔らかい表現例

  • 少しでもお身体が楽になりますように、どうぞお休みください。
  • 暖かくして、ゆっくりお過ごしくださいね。
  • ご負担にならないよう、ゆっくりとご静養ください。

カジュアルとビジネスのバランスを取った言葉選びの例

  • 体調のこと、ご自分のペースでゆっくり整えていってください。
  • 必要なことがあれば、遠慮なくお知らせください。
  • 今は回復を最優先に、心穏やかにお過ごしください。

相手との関係性による文体・言い回しの変え方の例

目上・社外向け

  • ご不調とのこと、さぞご心労のことと拝察いたします。
  • ご体調を崩されたと伺い、心よりお見舞い申し上げます。

同僚・社内向け(やや親しみを込めて)

  • つらい時期かと思いますが、無理せずゆっくり休んでください。
  • 何かあればすぐ言ってくださいね。こちらで対応します!

体調を気遣うメールを受け取ったときの返信マナーと例文

体調を崩しているときに届く気遣いのメールは、ありがたく、気持ちが和らぐものです。とはいえ、体調が万全でない中での返信には、タイミングや言葉選びに迷うこともあるでしょう。

体調を気遣うメールを受け取った際の返信マナーや、シーン別の返信例を紹介します。

上司・目上からのメールへの返信例

  • このたびはご丁寧なお見舞いのお言葉をいただき、誠にありがとうございました。いただいたお言葉に大変励まされました。
  • 体調は少しずつ快方に向かっており、復帰に向けて無理のないよう過ごしております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

同僚や部下へのお礼返信メール例

  • お気遣いありがとう。ゆっくり休んで、しっかり回復してから戻ります。
  • 業務面ではいろいろとご迷惑をおかけしますが、引き続きよろしくお願いします。

「返信不要」の表記がある場合の対応方法

たとえ「返信不要」と書かれていても、返信でお礼を伝えると丁寧です。ただし、相手の意図を汲み、簡潔に済ませるのがマナーです。

「返信不要」の表記がある場合の文例

  • お気遣いいただきありがとうございました。返信は不要とのことでしたが、お心遣いに感謝申し上げます。
  • お言葉に甘えて、しばらく静養に専念いたします。

感謝+配慮を伝える返信文例と注意点

体調への配慮に対する感謝とともに、「現在の状況」「今後の方針」などを簡潔に伝えると、相手を安心させられます。

感謝+配慮を伝える返信の文例

  • このたびは温かいお見舞いのお言葉をありがとうございました。現在は少しずつ体調が回復に向かっているところです。
  • 焦らず、しっかり静養した上で復帰したいと考えております。今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。

ビジネスで失敗しない!体調を気遣うメールのNG表現と避けたい例

体調を気遣うメールは、相手への思いやりを伝える大切な手段ですが、言葉選びを誤ると、かえって失礼な印象を与えてしまうこともあります。うっかり使ってしまいがちなNG表現を紹介します。

「お身体をご自愛ください」のような重複表現

「ご自愛ください」には「身体に気をつけてください」という意味を含んでいるため、全体として意味が重複してしまいます。

重複表現のNG例

  • ご無理のないよう、お身体をご自愛ください。

重複表現の言い換え例

  • ご無理のないよう、ご自愛ください。

回復を急がせるような表現やプレッシャーを与える文言

「早く戻ってきてください」などの言葉は、善意のつもりでも、相手に無理をさせる印象を与えることがあります。

回復を急がせるような表現やプレッシャーを与えるNG例

  • 早く元気になって、戻ってきてください。

回復に向けたプレッシャーを与えないための言い換え例

  • まずはご静養に専念なさってください。
  • ご快復を心よりお祈り申し上げます。

状況にそぐわないユーモアや馴れ馴れしい言い回し

体調不良はデリケートな状況です。冗談や軽口のつもりが、不快感を与える可能性があります。

不快感を与える可能性があるNG例

  • ちゃんと働かないとサボってると思われますよ(笑)
  • 寝てばかりで退屈でしょう?

社外の人に使ってはいけない内輪的フレーズ例

社外の方に対して社内用語や略語、フランクな表現を使うと、ビジネスマナーを欠いている印象を与えることがあります。

社外の人に使ってはいけないNG例

  • あの案件はリスケしておきますので、ご安心ください。

まとめ|相手に寄り添う体調を気遣うメールで信頼関係を築きましょう

相手を思いやる気持ちが伝わるメールの書き方とは

体調を気遣うメールは、単なるビジネスマナーにとどまらず、相手への思いやりを形にする大切な手段です。

相手の立場や状況に配慮した言葉を選ぶことで、「業務のための連絡」から一歩進んだ信頼関係を築くことができます。文章の端々に、相手を気づかう姿勢をにじませることが、何よりの誠意といえるでしょう。

ビジネスメールだからこそ必要な距離感と配慮を

たとえ気遣いや親しみを込める意図だとしても、ビジネスメールでは適切な距離感を保つことが求められます。馴れ馴れしくなりすぎず、かといって冷たくもならない、バランスの取れた言葉遣いが理想です。

詮索したりや返信を求めたりするような言い回しを避け、相手に安心して読んでもらえる文章を心がけましょう。

具体例を参考に、自分らしい「心遣い」を添えた文章を心がけましょう

この記事で紹介した例文やフレーズは、あくまでも参考のひとつです。実際にメールを書くときには、相手との関係性や状況に応じて、自分なりの言葉に置き換えて使うことが大切です。

定型文に頼るのではなく、あなた自身の心遣いが伝わる言葉を添えることで、より温かみのあるコミュニケーションが生まれるでしょう。

一般社団法人日本ビジネスメール協会
この記事を書いた一般社団法人日本ビジネスメール協会について
一般社団法人日本ビジネスメール協会は、ビジネスメール教育専門の団体です。ビジネスメールを中心としたコミュニケーションや業務推進における、さまざまな課題に取り組み、講演や研修、コンサルティングなどを通じてビジネスメール教育を提供しています。ビジネスメールの教育に特化した豊富な実績と経験を活かし、官公庁や企業、団体、学校などに対して最適なサービスを提供。独自に開発したビジネスメールの専門プログラムと、ビジネスメールを使った実務および講演の経験豊富な講師陣を有し、多様なニーズに柔軟に対応します。

スポンサーリンク